くり下がりのひき算でつまずくとき
たし算はできるのに、ひき算になると止まる。しかも「くり下がり」が出てきた途端に手が動かなくなる——小学1年生の後半から2年生にかけて、多くの家庭が通る場面です。手順が多いことが原因なので、どこで詰まっているかを切り分けると対処できます。
なぜ急に難しくなるのか
12−7のような計算では、一の位の2から7をひくことができません。そこで十の位から10を借りてきて計算します。この「借りてくる」という操作が、それまでの計算には無かった種類の手順です。
しかも頭の中でやることが一度に増えます。借りたことを覚えておく、借りたあとの十の位を書き換える、残りを計算する。手順が3つ以上になると、途中でどこまで進んだか分からなくなる子が出てきます。
つまり、計算力ではなく「手順を保持する力」が追いついていないことが多いのです。これは年齢とともに伸びる力でもあります。
教え方は2通りある
学校で習う方法は大きく2つに分かれます。どちらが正しいということはありません。
| やり方 | 12−7 の場合 | 向いている子 |
|---|---|---|
| 減加法(げんかほう) | 10から7をひいて3。3と2をたして5 | 10の分解が得意な子。学校で主流 |
| 減減法(げんげんほう) | 12から2をひいて10。10から5をひいて5 | きりのいい数にしてから考えたい子 |
大事なのは、家庭で別のやり方を教えて混乱させないことです。学校でどちらを習っているか、ノートや教科書を見て確認してから手伝ってください。両方を同時に教えると、かえって手が止まります。
つまずきの型を見分ける
型1:10の分解があやふや
減加法を使うには、10は「3と7」「4と6」のように分けられることが体に入っている必要があります。ここがあいまいだと、借りてきた10から何をひけばいいのか考え込んでしまいます。
対処は、ひき算に戻らず「10はいくつといくつ?」の練習に戻ることです。遠回りに見えて、これがいちばん速い道です。
型2:借りたことを忘れる
52−17のような2けたの計算で、一の位は正しく計算できたのに十の位で5から1をひいて4としてしまう(正しくは借りたので4から1をひいて3)。これは手順の保持でつまずいている状態です。
筆算なら、借りた印を必ず書かせてください。書くことで頭の中に覚えておく量が減ります。暗算でやらせるのは、筆算が安定してからで十分です。
型3:ひき算そのものの意味が弱い
そもそもひき算が「残りを求めること」だとつかめていない場合もあります。この場合、くり下がり以前の10までのひき算でも手が止まります。
おはじきやブロックを実際に取り除いて見せると、意味が伝わりやすくなります。「8個あって3個食べたら、残りはいくつ?」という場面から入ってください。
家庭で気をつけたいこと
- 指を使うのを止めない:指で数えるのは、数の感覚を作る自然な過程です。繰り返すうちに自然と使わなくなります。
- 速さを求めない:焦らせると手順が飛びます。まず正しく解けることを目標にしてください。
- 1日に扱う量を絞る:10問を毎日のほうが、50問を週末にまとめるより身につきます。
- 途中の考えを聞く:答えが違っても、途中までの手順が合っていれば、そこをほめてあげてください。どこで間違えたかも分かります。
できるようになるまでの道のり
くり下がりは、一度できるようになっても間があくと怪しくなることがあります。これは忘れたのではなく、手順がまだ自動化されていないだけです。
自動化には反復が必要ですが、同じ問題を何度も解くより、少しずつ違う問題に当たるほうが効果があります。また、間違えた問題を日をあけて解き直すと、定着が進みます。
2けたのくり下がりまで安定すれば、3年生以降の計算でつまずくことはかなり減ります。ここは時間をかける価値のある単元です。
まちがえた問題は自動で記録され、日をあけて復習に出てきます。登録不要・無料で、広告は表示しません。