時計が読めない原因と教え方
「何度教えても時計が読めない」という相談はとても多いものです。算数の計算はできるのに時計だけできない、ということも珍しくありません。これは理解力の問題ではなく、時計が特殊なしくみを持っているためです。
時計が難しい理由
時計には、ほかの算数にはない特徴が3つあります。
- 1つの文字盤を2通りに読む:同じ「3」という数字を、短い針なら「3時」、長い針なら「15分」と読みます。1つの記号に2つの意味があるのは、子どもにとってかなり複雑です。
- 60で位が上がる:ふだんの数は10で位が上がりますが、時計は60分で1時間になります。この切り替えが大きな壁です。
- 針が連続して動く:短い針は「3」と「4」の間をゆっくり移動します。ちょうどその数字を指していないときに、どちらを読むかで迷います。
つまり、読めないのは当たり前で、順を追って教える必要がある単元だということです。
原因1:短い針と長い針の役割が分かれていない
最初のつまずきはここです。どちらの針を先に見るか決まっていないと、毎回混乱します。
教え方はシンプルで、「短い針で何時かを決める。それから長い針で何分かを読む」という順番を固定します。言葉でも「まず短いほう」と声に出させてください。
短い針が3と4の間にあるときは、小さいほうの3を読みます。ここは「進んだ数字のほうを読む」と覚えるより、「まだ4になっていないから3時台」と説明したほうが納得しやすいようです。
原因2:長い針の数字をそのまま読んでしまう
これがいちばん多い間違いです。長い針が4を指しているのを見て「4分」と答えてしまいます。
正しくは、文字盤の数字×5が分になります。4なら20分、7なら35分です。ここで5の段の九九が役に立ちます。九九をまだ習っていない1年生なら、5、10、15、20…と5とびで数える練習から始めてください。
文字盤の外側に小さく分の数字が書かれた時計(5、10、15…と印刷されているもの)は、この段階ではとても有効です。慣れてきたら、数字のない時計に移っていきます。
原因3:「時刻」と「時間」が区別できていない
2年生で出てくる「何分後」「かかった時間」でつまずく場合、多くはここです。
時刻は時計が指している瞬間のこと、時間はその間の長さのことです。「3時10分」は時刻、「30分間」は時間。この区別があいまいだと、問題文を読んでも何を聞かれているのか分かりません。
家庭では、言葉を使い分けるだけでも効果があります。「いま何時?」は時刻、「あと何分で出発?」は時間。意識して両方を使ってみてください。
60をまたぐ計算も関門です。2時50分の20分後は、50+20=70分ではなく、3時10分になります。実際に針を動かして、12を通り過ぎると時が1つ進むことを目で見せるのがいちばん早い方法です。
家庭でできること
| やること | ねらい |
|---|---|
| アナログ時計を見える場所に置く | 目に入る回数を増やす。デジタルだけだと読む機会がない |
| 生活の予定を時刻で伝える | 「8時に出るよ」と時計を指す。時刻と行動が結びつく |
| 針を手で動かせる時計を使う | 「30分後はどこ?」を自分で動かして確かめられる |
| 5とびで数える練習をする | 長い針の読み方の土台になる |
学習用の時計がなくても、紙皿に数字を書いて割りピンで針をつければ十分です。自分で作ること自体が、文字盤の構造を理解する練習になります。
急がなくて大丈夫
時計を読む力は、学年が上がるにつれて自然に身についていく面もあります。生活の中で使う場面が増えるためです。
いま読めないからといって、算数全体が苦手ということではありません。計算とは別の力を使う単元なので、切り離して考えてあげてください。短い時間を何日も重ねるほうが、一度に長く教えるより確実に進みます。
どこでつまずいているか分からないときは、3分診断をお試しください。登録不要・無料で、広告は表示しません。